実際にあった事件を元に書かれたフィクション。
出生の秘密、育った環境、貧困、田舎の閉鎖的な雰囲気といじめ、堕ちるとこまで堕ちたなって自覚しながら堕ちていく…こんな不遇な巡り合わせある…?
小説として末端の運び屋の逮捕から麻薬密売組織の中枢に迫っていくハラハラドキドキも充分面白かったんだけれども、何より実際にあった覚醒剤密輸事件でマレーシアで死刑判決受けた日本人女性がモデルなので、読んだ後とても気になって調べてしまった。
中高生の頃、いつだったか夏休みの自由課題で凶悪犯罪の分析本を片っ端から読み漁って凶悪犯罪を犯した犯人の心理とか、どうして犯行に臨んだのかという分析にすごく興味があった時期があって、今もそういうのを知ることに好奇心を掻き立てられるのは事実。この本もあっという間に読んじゃった。
少し前に、山田詠美「つみびと (単行本)」も一気読みしました。これは大阪の幼児置き去り餓死事件をモチーフにした小説。母親の罪だけでなく、彼女を見捨ててきた大人たち、彼女を都合よく利用していた男達、父親として配偶者としてきちんと向き合わなかった元夫の罪深さも描かれていた。
機能不全家族で抑圧された環境で育った女性が、まともな対人関係を築けず、孤立し、その寂しさとか不安なところにつけ込まれて自分を癒せないままどんどん追い込まれて行く様子が2冊に共通していたように思う。自分も運が悪ければこうなっていたかもしれない、と思う。
調べていくうち日本人女性の死刑囚、ということで木嶋佳苗のブログ読み出したらこれはもう面白すぎた。この人この文才と欲望の塊を惜しげもなくひけらかす感じ、違う方面に使ってたらきっと自分でかなり稼げてたと思うんだけどな。でもきっと自分で稼ぐことにはまったく興味なかったんだろうな。
次は木嶋佳苗の本読もーっと。