30代共働きの子育て記録

東京から地方都市へ移住したフルタイムワーママの子育てや仕事のはなし。

毒婦について読んだ記録

木嶋佳苗への興味から、彼女に関する書籍を複数読んだのでその記録。

 

まずは本人が書いた本を読んで、他の人の分析本を読んでいこうと思い、木嶋佳苗著『礼讃 (角川書店単行本)』から。

 

図書館で受け取った時まずその分厚さにびっくり。そして開いてびっくり、長編小説のような二段組。自分の半生について語るのに、こんな文字数かけられる人なかなかいないのでは。途中胸焼けしつつも先が気になって仕方なくなる、引き込まれる文章でした。

 

一貫して性欲、食欲、上質上等高級なものに囲まれたいという物欲、強いなという印象…でも読書家だし多趣味(渋め&貴族的)だし、きっと愛人時代のお相手のオジサマ達は彼女と話してて楽しかったんだろうなぁ…

 

犯罪者が生まれたのは育てた親の責任論がよく言われるけれど、両親ともに相当な毒親でない限り間違いなのだなと思った。木嶋佳苗の両親は、母親はかなりの毒親だけれど、父親は母親の毒を充分に打ち消すだけの愛情と誠意を持って彼女に接していたように見える。彼女自身も書いているが、彼女の人生を変えたのは、徹さん(佳苗の初体験の相手で、佳苗を利用して医師夫婦からお金を騙し取った詐欺師)だ。

 

実際に彼女が詐欺を働き、殺したとされる出会い系サイトで見つけた男たちについては触れられないまま終わるのもまた彼女らしい。不都合かつ美しくない思い出はここには書きたくなかったようだ。

 

次に北原みのり著『毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

彼女が見た裁判の様子、木嶋佳苗の態度を読んで、謎は深まる。男性が夢見る理想の女性を与えて、その対価を得るのが当たり前だと思っている木嶋佳苗。普通の女の人は、その理想の女性を与えること、求められること自体が苦痛でひとりの男相手でもやってらんないと思うんだけど。

 

上原千鶴子、信田さよ子北原みのり著『毒婦たち 東電OLと木嶋佳苗のあいだ

ここでは、木嶋佳苗の事件だけでなく、ありとあらゆる女性が被告となった事件について3人がジェンダーフェミニズムの観点から語っていてこれはとっっても面白くてあっという間に読了。

木嶋佳苗の報道見た男性の『俺は騙されない(なぜなら彼女が不美人だから)』って感想はほんとに失笑ものだ。

大阪幼児置き去り餓死事件は男が最も見たくないタイプの事件だったからそれほどメディアにも取り上げられずに(母親だけを鬼扱いして)終わったよね、という評価には、納得…!男の罪ね、、胎児殺しも実行犯の母親をバッシングしてもそこに至った父親の罪にはまったく触れないのだよね…!

 

そして最後に木嶋佳苗がブログで自分をモデルと謳ったことを怒っていた柚木麻子著『BUTTER(新潮文庫)』を読もうとしたんだが、『食』がテーマになってるみたいでいまいち興味持てず序盤で読むの辞めちゃった。

 

彼女に関する書籍はまだまだあるが、この3冊で今はお腹いっぱいなので次はまたジェンダーフェミニズムをテーマにした読書に戻ろうっと。