コロナ禍をきっかけに東京から地方移住したアラフォーママが、子供が拾ってきたはらぺこあおむしを育てている話。
私達家族が移住した先は、夫のふるさと。義理の両親は畑でにんじんなどの野菜を育てている。
キアゲハはにんじんなどのセリ科の植物の葉に卵を産む。にんじんの若い葉っぱを幼虫がものすごい勢いで食べ尽くすため作り手にとっては害虫なのだが、子供達にとっては最高のペットだ。
いつものようになんの予定もない週末に朝から畑のお手伝いに行った夫と子供達。私は誰もいなくなった家でせっせと家事をしていると『ママ、虫籠持って来て!』と電話。
はいよ、と夫の実家宅へ持って行くと、子供達が次々とにんじんの葉っぱと幼虫を5匹、籠に入れて満足そうに眺めている。
というわけで我が家にやってきたキアゲハの幼虫5匹。人間の子供2人の世話でも結構大変なんだけどな、と思いながら、朝起きたらまずあおむしたちの様子を見に行くことが私の日課になった。(休職中で暇なのもある)
娘は幼稚園でちょうど昆虫について勉強しているタイミングで、喜び勇んで毎日幼稚園へ持って行っている。うっかり持ち帰ってくるのを忘れた日の夜はCatapillar死んじゃうのではと半泣きだった。
私自身は小学生の頃に理科の授業でモンシロチョウの幼虫を育てていた時、私の育てていた幼虫は途中で寄生ハチに刺されてある朝登校したらふにゃふにゃになったアオムシから別の幼虫が出てきていた、というトラウマ級の出来事があって以来、基本アオムシは嫌いだったはずなのだが。
私は息子が家に置いていったアオムシを眺めながら、蛹化前の脱皮場所を探すアオムシを時々にんじんの茎や割り箸に乗せて誘導しながら、思わず『可愛い』と呟く。葉っぱをきちんと前足で掴んでむしゃむしゃと口に運ぶ姿、蛹になる場所を探して一生懸命走る(結構速い)姿、ぱっと見はギョッとする見た目だし、さすがに直接手に乗せる勇気はないのだが、すぐ近くで観察していると愛着が湧いてくる。(育てたことある人にしかわからないと思うこの気持ち)
捕獲した5匹のうち、2匹は完全に蛹の状態になった。3匹はタイミングはまちまちだったが今蛹になるための脱皮準備のためじっとしている。あおむし育てはここで一旦小休止、というか次は羽化だからもうアオムシ育ては終わりか。ちょっと寂しい気持ちすらある。
みんな無事に立派な蝶になれますように。